6.23(月)
ジュンク堂広島駅前店の店長M氏がこのたび東京異動になったので、お別れを言いにジュンク堂へ行く。
直木賞候補作『Nの逸脱』があったので買うことに。
店の分を注文したが品切の回答をもらっていたので、どこかで買わなければと思っていたからちょうどよかった。
M氏へのプレゼント用にも一冊選ぶ。
しばし悩んだ挙げ句、歌集にした。
呼び出したM氏に会計をしてもらい、プレゼント用に包装してもらったものをそのままM氏へ渡す。
惜別と応援の思いを込めて。
グッドバイ。
広島駅まで来たので、ついでにミナモアの廣文館にも少し寄って、試運転中の路面電車を見物して帰る。

帰宅して昼食に担々麺を食べ、食後を読書の時間にした。
村田沙耶香『授乳』の残りの一編「御伽の部屋」を読む。
冒頭の数ページはとても小川洋子っぽかった。
読んでいるうちに眠気に襲われ、堕ちるように昼寝に突入する。
6.24(火)
雨のせいで洗濯物が乾かない。
雨音を聞きながら「御伽の部屋」の続きを読む。
村田沙耶香は秘め事を書く。
テイストは同じような感じだが、ディテールが違うので毎度おもしろい。
秘め事のバリエーションが豊富なのだ。
6.25(水)
自転車で店に向かう途中で、出かけていた妻とすれ違った。
用事を終えてなんだか楽しそうに見えた。
入荷のなかに客注分がいくつかあったので、入荷連絡の電話を何本か入れる。
年輩の男性は電話連絡を希望する傾向がある。
店のスマホが充電されてなく、電源が切れていたので少し焦る。
芥川賞候補作はいったん全部読めたので、直木賞候補作を読み進めて行きたいところだけど、いかんせん長編を一気に読む体力はないので少しずつになる。
合間にほかの本も挟みながらの長期戦。

中川李枝子『本と子どもが教えてくれたこと』(平凡社)によれば、中川李枝子の父は中学生4年生の時に山口の旧制高校に飛び級で転入し、瑠璃光寺に下宿していたそう。
Lounge B booksを開業する前、私は会社勤めをしており、営業で山口県を担当していたことがある。
営業の合間にといえば聞こえはいいが、実際はさぼりであるところの合間に、瑠璃光寺を見物したことを懐かしく思い返す。
6/26(木)
店を臨時休業にして、日中、用事を済ませる。
夜、机で本を読んでいたら、そう遠くないどこかでパトカーだろうか、のサイレンが聞こえてきた。
その瞬間、なぜか実家の自分の勉強机に座って本を読んでいるような錯覚に陥った。
時間にして1秒か2秒くらい、私は実家にいた。
サイレンの音が遠くなり、我に返った。
机と窓の位置関係が、実家の自室と同じだったことに気がついた。
6/27(金)
朝、蝉が鳴いているなと思っていたら、午後には梅雨明けが宣言された。
夏が始まったようだ。
『ブレイクショットの軌跡』を読み終えた。
600ページの長編を完読できたことをひとまずの成果としよう。
内容について詳しくは触れないが、収まりがよすぎる気がしないでもない。
どうしてもそういう形式や構造に関する点に意識がいってしまい、本来語られるべきテーマやディテールに踏み込めないなと感じてしまう。
ストーリーやプロットで読ませるものと自分との距離を再認識した。
6/28(土)
直木賞候補作、ふたつめに選んだのは塩田武士『踊りつかれて』。
冒頭、「宣戦布告」と題されたその名の通りの宣言文から始まる長編。
『ブレイクショット~』に比べるとページ数も少ないし、するすると読めそう。
夕食は冷やし中華だった。
娘はしきりに「冷やし中華はじめました」と言っていた。
夕食後、コーヒーを淹れる。
暑くなったとはいえ、食後はホットコーヒーを飲みたくなる。
アイスコーヒーを飲みたいときももちろんある。
コーヒーを飲みながら『25年後の東浩紀』を読んでみる。
2023年に開催された東浩紀『存在論的、郵便的』に関するシンポジウムを書籍化したもの。
シンポジウムで最初に登壇した森脇透青さんが同書について解説されていて、それがとてもわかりやすい。
こんなに明晰に整理できるんだと感動した。
『存在論的、郵便的』過去に一度読んでさっぱりわからなかったけど、もう一度読んでみたくなった。

6/29(日)
店に行く前にスーパーに寄って昼用のカップラーメンを買う。
店に向かう途中で忘れ物に気づく。
家に取りに帰り再び店へ。
暑さが堪える余計な一往復。
コンビニでアイスコーヒーを買い、店に到着する。
ひと息ついて開店。
午前中に『踊りつかれて』の第二章まで読む。
意外と展開が早く、なかなかテンポがいい。