小説が他のジャンルと違う点の一つとして語り手の存在がある。読者と著者のあいだに語り手が存在している。複数人へのインタビューで構成される『悪女について』の語り手は誰なのだろうか。語ってはいないけれども、この小説の場合、おそらくインタビュアーが語り手ということになるのだろうか。ではこのインタビュアーは誰なのか。気になっていたところへ、少しヒントとなる記述をみつけた。なるほど。よく考えると、本書の語り手は各章それぞれの登場人物だろう。インタビューに答えるかたちで大いに語っている。